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和楽器豆知識

琵琶

楽器


琵琶(後藤幸浩)

琵琶(びわ)は、胴と棹から成り、それに絃が平行に張られている弦鳴楽器であり、撥(ばち)を用いる。琵琶の材料は桑の木がよいとされ、裏面には欅や桜も用いられる。(筑前琵琶では桐材も用いられる) 琵琶には、古代琵琶、雅楽琵琶(楽琵琶)、中世の「平家琵琶」、江戸時代以降の「薩摩琵琶」、「筑前琵琶」などがあるが、大きさや構造が異なる。絃も四絃、三絃、五絃であったり、棹についている丈の高い柱(じ)の数も、四柱であったり、五柱であったりと異なる。 琵琶に共通するのは、棹の上端―天軫(てんじん)がうしろに曲がっていること、柱があること。(正倉院にある琵琶には、首が真っすぐな直頸琵琶もある。) 雅楽琵琶(楽琵琶)は大型で頸部が短く四柱で、柱の上で絃をおさえて奏する。盲僧琵琶の形状は一定していないが、携帯に便利なように小型である。
筑前琵琶は、薩摩琵琶より小さく表板は桐材。薩摩琵琶の撥面には皮がはられている。薩摩琵琶では「半月」、筑前琵琶では「三日月」と呼ばれる飾り穴が付いている。薩摩琵琶の撥は先端が広がっているが、筑前琵琶の撥は薩摩琵琶ほど広がっていない。

歴史

琵琶の起源
琵琶は、奈良朝直前に中国より伝来したと言われている。(正倉院に遺存する四弦直頸梨形胴、五絃直頸棒状、四弦直頸円形胴の三種類が唐の時代にあったと認められている。) 四弦直頸の琵琶の起源はペルシャ系のリュートで漢代に西域との交通が行われるとともに中国に入り、琵琶の中国音もペルシャ名のバルバットが転訛したとの説もある。バルバットからアラビアのウード(*)という楽器が生まれ、ヨーロッパに伝えられてリュートとなり、さらにマンドリンやギターへと発展したと考えられている。

*アラビア音楽で一番重要な弦楽器で、日本の琵琶とよく似た形をしているが、棹に柱がなく、胴体のところには「太陽」と呼ばれる飾り穴がついている。

五絃直頸の琵琶はインド起源と考えられており、亀?(きじ)琵琶(胡琵琶)とも呼ばれた。 円形胴は秦代の「絃とう」と四絃琵琶が結合してできたもので、晋時代の竹林の七賢人の一人が名手であったので、その名をとって阮咸(げんかん)とも呼ばれている。

歴史
正倉院に古代琵琶の一部が残っているが、奈良・平安時代には琵琶の独奏曲などが盛んに行われていたということが歴史的な資料として残っている。
中世には「平家琵琶」がおこる。この平家琵琶の音楽のことを「平曲」ともいう。器楽的な古代琵琶に対し、中世には仏教思想が民衆の心の中に入ってきて、そういう物語を琵琶の伴奏で語るという音楽のスタイルができあがってきた。やがて、仏教思想ばかりでなく、「平家物語」のようなものを民衆に語って聞かせる、語りもの音楽として発展してくる。
平家琵琶で現在残っているのは、大きな流派だった波多野流と前田流の二つの流派のうち、前田流だけ。
平安時代頃に、インドから九州に来ていたと想像されている盲僧琵琶は、お経の伴奏として用いられていたが、盲法師が諸国を巡って歩き、人々に仏の徳や物語を聞かせるようになり発達してきた。
盲僧琵琶の伝統から、近代琵琶として江戸時代初期に薩摩琵琶がおこり、明治以降には筑前琵琶、薩摩琵琶から出てきた「錦心流琵琶」、更に錦心流琵琶から出た「錦琵琶」が出てきた。

音楽的特徴

雅楽琵琶(楽琵琶)は、棹についている柱のところを指で押さえ、旋律的な演奏ではなくリズム的な使い方に特徴があり、雅楽に特有の和音を鳴らす機能を持つ。
平家琵琶では、普通の日本音楽からは出てこないような音程(三和音ふうなもの)とか、西洋音楽風の協和音だとかも盛んに使われる。
平家琵琶ではじめて語りもの音楽のスタイルが出てくるが、琵琶と語りかける言葉の旋律との関係が、後世の三味線音楽のように表裏一体となっているのではなく、独奏曲のように演奏するところと、語って聞かせる部分が分かれている。
近代琵琶と呼ばれる薩摩琵琶、筑前琵琶、錦心流琵琶、錦琵琶は、左手で柱と柱の間のところを押さえ、音の装飾性が高められてきた。
江戸初期に盲僧琵琶から生まれた薩摩琵琶は、殿様の個人的な趣味が反映して武士階級の音楽になったと言われ、旋律的な動きよりは、たくましい表情、武士的な表現があり、旋律も合戦の場面を表すような激しいものであり、語りかけるところは、後世の詩吟なんかとよく似たうたい方がある。
明治に筑前盲僧から出た筑前琵琶は、三味線音楽の伝統が大きな影響を与えており、平曲や薩摩琵琶に比べ、語りものとはいいながらうたうメロディは旋律的になり、歌と琵琶の関係が密接。
薩摩琵琶から発達した錦心流は、もっと庶民的な感覚になり、錦琵琶になると女性的で繊細な表現になってくる。


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